夢を見ていた。
俺は深い森に立っている。
そして光の差すほうへ歩いた。
「また質問?」
森を抜けた時、恐ろしく不安定な岩の上に立っていた。
『まさか。』
聞いたことのある声が返ってくる。
空はあの時と同じように気味の悪いくらい澄み切っている。
『同じこと聞くほど暇じゃないわよ。』
鼻で笑う。
「まあ、いいや。久しぶり。」
『久しぶり。今日だね。』
「うん、今日。」
『どう?』
それは何に対しての『どう?』なんだろう。
『気持ちの整理はついた?』
そういうことか。
「ああ、思い出はたっぷりと。」
これだけで、これからの嫌な事は乗り切れる。
『そう。』
『準備は?』
装備は整っている。
仲間も目星はつけた。
「問題ないよ。」
『そう?』
何故笑う?
「ところで、君は誰?」
『いつか会うわよ。』
「そう。」
『んじゃ、起きなさいな。』
「そっか。」
時間か。
『仇討ちの旅、頑張って、』
どうして知ってるんだろう。
『あたしが凄いから。』
「何だよ、それ。」
互いに笑いあう。
心地の良い相手。
古い友人のような。
視界が光に包まれていく。
声が遠くに響く。
『なら会った時、すぐ友達になれるね。』
「そうだね。」
『じゃ。また。』
またがいつになるのか。
わからないけど、その時は初対面になるのだろうか。
再開を期待して。

「バイバイ。」

リュウは自分の部屋の天井を見ながら呟いた。




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